信念は幸福への架け橋

執筆者 | 4月 22, 2016

薬の影響

Mさんは、東日本から震災の後避難されてきた方です。まずは広島の尾道に移住し、その後大阪に移住したMさんは、女性の患者Kさんの紹介で来られました。
とてもまじめな青年といった印象で、症状を聞くと「うつ症状」であるとのことでした。

話を聞くと、10年前に医者にうつ症状と診断され薬を飲み始めたそうです。
そしてその後に強い抗うつ剤を投与され、結果外出できないほどになり、ほとんど寝込む状態になられたとのこと。
「体がだるく、長時間働き続けることができず、今は仕事をしていません」

4年前にそれらの薬は絶つことができたが、その副作用なのか、だるさ、疲労感、そしてアトピーにもなるようになり、息苦しさが現れたのはこの頃でもあるとのことでした。

Mさんがおっしゃるように、とてもしんどそうな印象を受けました。
今も薬は服用していないということでしたが、その後遺症を強く感じました。
現在では、加えて頭の重さ、肩から首が詰まる感じ、さらにはフラッシュバックもあるということでした。さらに睡眠がとれないということで、睡眠導入剤は服用されているとのことでした。

さて、施療をはじめてみると、全身の至る所が重く、そして肩から背部にかけて甲羅のように硬くなっていました。何かを背負っているようにすら感じました。
初診は冬がはじまろうとしていた11月頃のことでした。

少しずつ快方へ

Mさんの施療は毎週行いました。
毎回、施療後すぐ反応が出て、動けないほどに体がだるくなることもしばしばあり、長い時は施療後2時間近くそのまま横になり休んでいました。
週に一回のペースで二か月ほど通われたあたりでは、反応として、だるさの他に、フラッシュバックが起こることが多くなったとのことでした。フラッシュバックとは、強いトラウマ体験を受けた時に、後になってから突然その記憶が鮮明に思い出されることです。
Mさんのフラッシュバックとは、家族とのこと、そして以前交際していた彼女のことでした

緊張感の強い家庭で、両親のことに加えて、お姉さんとの関係で良い思い出がないようでした。また、当時交際していた彼女からも、暴力を受けていたり暴言を吐かれたりされ、随分と苦悩されていたそうです。

それらに強い恐怖を抱いていたMさんに、忘れていた記憶が掘り起こされるかのように、フラシュバックとして現れたのでしょう。
私はこれらのトラウマが癒されるように願って施療を続けました。
そして、そのフラッシュバックは徐々に軽くなり頻度も減って行きました。
けれども、体のだるさはまだ抜けきらないようでした。

Mさんはこれが解消されないうちは仕事をするのが不安のようでした。
タオ療法の効果は感じつつも、治るのかどうかということが心配になっていったようでした。
「毎週このペースで施療を受けていると金銭的にも厳しいです。どれぐらいかかりますか?」

体調が不安定で、仕事もできない状態のMさんのことを考えると無理もないことでした。ですが、私はこの症状が必ず改善されると信じていました。
そして、不安であるMさんに続けて施療をすることを勧めました。
「春を目標に改善するようにやって行きましょう。4月には仕事もできるようになりますよ。そう信じて4月を目標として治していきましょう。必ず改善しますから」
私はMさんにそう言いました。
Mさんもそれを信じ、施療に通われました。
1月中旬頃のことでした。

信念のすごさ

それから少しずつ、1歩ずつ、改善していきました。
2月は毎週、そして3月は週2回の施療を行い、この頃には施療後のだるさも随分軽減されており、日常あった倦怠感も随分と減っていったようでした。
そして目標にしていた4月がやってきました。

ご自身でもできる限りのことをと、タオ療法の他に身体術にも通われるようになりました。この頃には、少しずつですが仕事ができるようになり、当初の頃と比べ大きく改善されていました。

「あの頃と比べて随分と楽です。フラッシュバックも見なくなりました」
笑い顔も見せてもらえるまでになり、私はほっとしました。
そして、人の信念というものは改めてすごいと思いました。

“治る”という信念により、重度の病をも転換することができるのです。
日を追うごとに元気を取り戻されていきました。
Mさんは元々活発な性格だったそうです。そんな話を伺って以来、私は施療の度にMさんが活発であるイメージをし、そうなるように願い続けました。

そして、施療の回数も月に1~2回ほどでも良いぐらいになり、仕事も順調にこなされるようになったある日、Mさんから嬉しいニュースがありました。
実は交際が進んでいた、紹介者のKさんとめでたく結婚することになったということでした。とても嬉しい報告でした。

さらに、しばらく経った後、Kさんが妊娠したとの知らせも!
「わ~っ、ほんとうですか!おめでとうございます!」
私はとても喜んでしまいました。

これもMさんの心と体の状況がシンクロしている現れであるように思いました。
現在Mさんへの施療は仕事での疲れや腰痛をとるぐらいまでとなり、アンチエイジングとして通われています。

1年の間に人生というものは、こんなに変わることができるのだと思いました。
Mさんの人生はこれから益々、素晴らしくなっていくでしょう。
そして、同じ症状で悩まれている方たちへの励みになっていくことと思います。

本田雅聖 (三条・京都)