初めての患者さん、Kさんの笑顔

執筆者 | 6月 4, 2012

初めての施療とタオ療法の凄さ

私が、タオ療法の臨床に携わるようになった当初の数回は、経験を積むために、師と一緒に施療を行っていました。
Kさんは、そんな頃の私が初めて担当した患者さんです。

数日前に草むしりをされたことから、腕がかぶれてしまったらしく、それを何とか改善して欲しいということで来院されました。
その腕全体に、ひどいかぶれが、赤く痛々しくひろがっていました。
本人はここまでかぶれた事にびっくりされており、また、“困ったことに、皮膚科へ行っても改善しなかった”と話されておりました。
そして、カルテにはかぶれの他に、腰痛、肩コリ、足の指が痛い、という症状等も記されていたのでした。
師のKさんへの初めての施療を見学させていただいたときのことは、大変印象に残っています。

その施療後のKさんは、別人のように明るくなっていて、魔法を見ているようでした。
Kさんはというと、「マッサージとは違うね。初めての感じやで。
効きそうやわ。」とにこやかに話され帰られました。
私は、タオ療法の臨床家である責任、人を癒せる喜び、そしてこのような素晴らしい師のもとで学べる喜びを一心に感じていました。

次の日にKさんへ体と腕の具合を伺うため、電話をかけたところ、「腕の痛み、かゆみはもうないですよ。随分と良くなりました。わざわざ電話してくれてありがとう。電話してくれるとは思ってなかったから…うれしいわ。」と、とても軽快な声を聞くことができました。

施療は腰、首、足の指の症状へ

その数日後に来院された時には、Kさんの腕はかぶれの後すらなく、きれいになっていました。
「良かったです。すごくきれいになりましたね。」
「おかげ様で。ありがとう。でも実はまだ腰と首がスッキリしないんやわ。」とKさん。実はこちらの症状の方が、重かったのでした。
このKさん、現在は定年退職されていますが、以前はトラックでの運搬配送を仕事とされ、休みもあまり取ることができず、無理な生活が続いていたそうです。
その無理が、ここに来て出てきてしまったようでした。何年も体を酷使してきたことが、腰部、首、そして足の指にきてしまっていたのでした。

数回の施療後、首そして腰の順に痛みは消えていきました。つらかった腰痛においては、痛みがあったことを忘れる程に改善しました。

それでも足の指の違和感は残っていました。
右足の第三趾、第四趾の感覚がなく屈伸するだけで激痛があり、走ることもできない状態でした。さらに両足、特に痛みがある右足は冷たく、それは夏場であっても同じでした。
整形外科など、どこに行っても治らなく、半分あきらめていたということでした。

少しずつ快方へ

回を重ねるごとに、少しずつだが良くはなっているという実感が私にはありました。
さらにKさんも「今まで無理したからなあ、そんな急に治ることないわ。
でも少しずつ良くなってる感じがする。」ととても前向きでした。
Kさんはタオ療法を強く信頼されていたのです。
そして、少しずつの改善を楽しんでいるようにすら感じられました。

その強い信念が、ある日を境にして、これまでにない改善をもたらしたのです。
私が施療前に「その後、いかがですか?」と伺うと、
「良い感じ。すごく良いよ。」と満面の笑みでそう答えられました。
もうKさんの足は寒い冬であっても、以前のような冷たさはなく、温かくなっており、屈伸しても痛みは随分と和らいでいたのです。

現在も体のメンテナンスと併せて、さらなる足の改善のため、月に1度は通われています。
ある時、こんな会話がありました。
Kさん、「この間、終電に乗り遅れそうになって、思いっきり走ってしまい、無理しましたわ。」
私、「無理されて痛くなりませんでしたか? それで間に合いましたか?」
Kさん、「ギリギリセーフ。間に合いましたわ。」

ニッコリとされたKさんの笑顔、そして子供のようなキラキラした目に、私の方が癒されたのでした。
このKさんの陽気な笑顔が、最初の施療の時からずっと私の成長を見守ってくれているかのように、感じられたのでした

本田雅聖 (京都・日本)