好転してあふれ出した感情

執筆者 | 10月 9, 2016

原因不明の痛み

ダンサーのCさんは8年間、多発性硬化症に似た“奇病”に悩まされてきました。
これまで何とか過ごしてきたのですが、いよいよ症状が悪化し、施療を受けに来られました。

10年程前に交通事故で鞭打ちになったことがありました。その後遺症かと思い、病院で精密検査を受けましたが特に問題はありませんでした。
その際、症状から多発性硬化症を疑われて、その検査も受けましたが認められず、それ以来病院へは行っていないとのことでした。
その間は、とてもダンスどころの話ではなかったそうです。

通常、痛みは「何となく感じる程度」らしいのです。ですが、激しい痛みが時には数時間にわたって波状に襲ってくる“集中攻撃”の症状もありました。それは、全身を針で刺されるような、かみそりで切られるような痛みと、骨にそって重い痛みが走る、ということでした。

徐々に感じられるようになったツボの響き

はじめての施療では、彼女は首にしかツボの響きを感じませんでした。
続けるうち、昔、ダンスのし過ぎで痛めたと思われる腰の痛みに効果が顕れ、やがて下半身にもツボの響きが感じられるようになりました。
施療後の数日間、眠気とだるさを感じ、昼夜問わず眠らずにいられなくなる、というメンゲン反応を伴うこともありました。
それでも、施療の次の日には、生まれ変わったかと思うほどに、気分良好になれる時があるのだと話されていました。

一ヶ月程が経った頃でしょうか。
痛みが起こる頻度が、少なくなり、例の“集中攻撃”も徐々になくなっていったようでした。そして、それにつれて、ツボがよく響くようになりました。本人も、その響きを体の芯に深く感じるようでした。
また、彼女は、“ストレスを感じると痛みが増す”という、自分自身のことがわかってきました。

突然施療中に感情が

ある日のことです。施療中に、彼女は突然感情が溢れ出て、笑う、泣くを繰り返しました。そして、施療後、(メンゲンと思われる)ひどい頭痛になったそうです。

「その後、頭痛が治まっても、泣けてしょうがなかったわ。どういうわけか、昔受け入れたと思っていた色々な悲しみの多くが、実は完全に受け入れてはいなかった、という気がしてきてとても苦しかったの。でも気分は不思議と悪くなく、むしろ軽やかだった。今では、あちこち軽い痛みが走るけど、重くなるような感じがしなくて、何だかやる気が出てきたわ。」と話してくださいました。

以降、彼女の具合は、かなり良好になりました。痛むのでは?という不安が消え、ダンスを様子を見ながら再開しました。時たま、ストレスによる痛みを感じても、それをコントロールできるようになっていました。
さらには彼女自身、食事を工夫するなどの精進を怠らず、精神的にも落ち着きを取り戻しました。何よりも“やる気”は衰えないままでした。

やがて最後の治療の日に、彼女はご主人ともども挨拶に見えました。
そして、ロッキー山脈のふもとにダンス・スタジオを購入したので引っ越されるという、何とも気分の昂揚する報せを持ってきたのでした。

豊田雄山 (モントリオール・カナダ)