妊娠がわかった

執筆者 | 10月 7, 2016

家を出たい

Rさんが私のもとに訪ねてきたのは、今から3年程前のことになります。
当時の彼女は30歳、165cm37キロと、ずいぶんやせていました。
顔には吹き出物が多く目につき、何か辛そうな印象を受けました。
話しを聞いてみると、彼女はかなりのストレスの下で日々過ごしていることが分かりました。というのは、彼女の実家は自営業で、父親、兄、妹と、揃って同じ職場でした。
そのため仕事場でも家庭でもなかなか緊張のほぐれる時がなかったのです。特に父親の強い圧力のもと、息苦しさを感じていました。
彼女は、いつか家を出たいと願うようになっていたのでした。
そんな願いがあり、また、結婚を希望する男性もいたのですが、どうしても家族との絆を断てずにいました。
仕事に対する責任も感じていたため、なかなか踏み出せずにいたようです。

思いが 変化を生んだ

また、彼女には子供が欲しいという願いもありました。ですが、自分には妊娠するのは難しいのではないか、自分には産めないのではないかという不安もあったようです。
“とにかく今の自分の状態を知り、それを改善したい、良くなってから子供を産みたい”という思いを強くもっていました。そんな気持ちで、彼女はそれまで通っていたハリの先生の紹介で、私の所へ訪ねてきたのでした。
私は、彼女を励ましながら、はじめの頃は週に2回、様子を見ながら徐々に週に1度のペースにして、指圧をしていきました。
そうしているうちに、彼女の体調は良くなっていき、やがて結婚をしました。
無口だった父親も、彼女の変化につれて少しずつ話しをするようになり、関係が改善された、と聞きました。

新しい生命を宿してから

そんなある日、私はいつものように指圧をしていると、彼女のお腹がいつもとは違うことに気づいたのです。
妊娠している! 彼女に、「もうここに誰かいるわ!」と伝えました。
彼女はびっくりしていました。彼女自身、その事実をまだ知らなかったのです。そしてなんとその15日後に、妊娠の事実が明らかになったのでした。
彼女は妊娠中も通って来ました。出産後、体調はいよいよ良くなり、体重も増え、精神的にも、穏やかに、そして強くなっていったのです。
現在でも、たまにやって来ます。生後間もない赤ちゃんを抱いて、幸せそうな彼女を見ていると、心からうれしく、この仕事の喜びを感じるのです。
彼女は、出会えたことを本当に喜んでくれ、単に治療のためだけではなく、良い人生を送りたいために、私のところへ来ているのだと話してくれました。

ロレダナ・バッジ (イタリア)