帝王切開の古傷

執筆者 | 10月 10, 2016

近所に住む友人が首の痛みとストレス、それからなんとなくしんどい・・・
ということで治療を受けに来ました。

基本手技のあと、痛みのある首のツボを治療していると、何となく妙な感じがしてきました。
そこで、私はさらに彼女との融合を深めていきました。
すると、彼女が本当に治療してほしい箇所は首ではなくて、腹部のような気がしてきたのでした。
何というか「呼ばれる」と言う感じです。

腹部を診てみると、脾と腎のあたりです。
しかし、ここへ施療すると痛みが非常に強く、また深いようでした。
彼女は、堪えきれなくなってしまったのか、激しく泣き出してしまいました。
「私にはなぜだか解るわ。これは分娩のときのものよ」
しばらくして落ち着いてから、彼女はそう言いました。
実は、彼女は2人の子供を2人とも帝王切開で出産したのでした。
そしてそのことがトラウマになっていたのです。
「・・・どうしても、私は自然分娩で生みたかったの・・・」
「だけど、できなかった・・・」
「そう、だから落伍者になったみたいでね・・・」と彼女。
彼女はこの2回の帝王切開について、自己に対する怒り、有罪感覚を強く心に残してしまっていました。
「この辺で自分を許してあげたら?お子さんも元気なんだし・・・」と私。
「そうよね、もういいわよね・・・」
長い旅を終えてすっきりしたような面持ちで、彼女は言いました。

そして、私にとって、このときの治療は随分勉強になりました。
先ず、心に浮かぶことを信じる。
そして、患者さんが、例えば頸部痛なら頸部痛を訴えて来られても、本当に治療をしてほしいところは、全く別の場所ということも有り得るということです。
そして、さらにそこを治療すると、訴えていた症状にも影響していくということです。
今回の経験は、精神と肉体、そして心の領域にまで及ぶ、タオ指圧治療の 奥深さの一例だと思いました。

ローレンス・レフコート (モントリオール・カナダ)