12匹の闘犬と暮らす人間嫌いの女の子

執筆者 | 10月 9, 2016

ネガティブな生活

私の友人Iさんから、娘さんの親友についての相談を受けました。

話を聴くとかなり深刻で、急を要するように思えました。
彼女は、どうやらある幼児体験が元になって12,3歳の頃から、線引き定規で体をこすって傷つけ始めたそうです。その延長なのか、今ではパンクロッカーさながらに、身体中にタトゥーを入れたり、ピアスも数箇所につけているとのことでした。
人間嫌いで、12匹の闘犬と暮らしていて、一番の楽しみは恐怖映画を観ることなのだそうです。

Iさんはこのような話をしてから二時間後に、彼女を連れてきました。
当の彼女はとても話し好きでした。そして自分の話で人を驚かすのが好きなようでした。
私は共感しながら話を聞いていきました。
彼女は本当に恐れを知らず、結果を考えず、何でもやってしまう子のようです。精神科医から処方された薬に頼って働かず、次は体のどこの部分に穴を開けようかということばかりに頭を巡らし、そして恐怖映画に没頭しているだけの生活を送っているのでした。付き合っている彼氏もいるのですが、どうも彼をはじめ、回りの人間環境がそうとうにネガティブなようです。

お念仏を唱える

「この子には愛を感じる力があるのだろうか・・・」と泣き出してしまったIさんを横に、私は治療を始めました。
治療はとても難しく、いろいろな想念が沸いてきました。
彼女の批判的な態度や、全てを利用しようとする心などが私の心を乱します。
「なぜ12匹もの犬を飼ってそれも犬舎にとじこめておくんだろう、かわいそうじゃないか・・・」
「なぜIさんの娘さんはこんな子と親友なんだろう・・・」
・・・恐怖映画の場面、血、嘲笑、・・・ネガティブな想念が打ちかかってきます。

ストップ!!

私はそれらを打ち払い、心の中で「南無阿弥陀仏」と唱え始めました。
それからしばらく、仏さまをイメージし念仏を何度も繰り返しつつ施術していました。はじめは、彼女の心に愛が芽生えるイメージを描いても重苦しく、難しかったのですが、あるときを境にすうっと軽くなり、次第に深く、明るくなってゆきました。そうすると、ずしりと彼女の痛みが感じられ、私自身の幼児期体験に重なり、もう祈りを深めてゆくことしかできなくなっていったのでした。治療が終わったとき、彼女はうっすらと涙を浮かべ、「ありがとう」と微笑みました。
私たちは3人で抱き合い、何故か励ましあっていました。

その後、Iさんの話では、彼女は1週間を通して泣き続けていたそうです。今では恐怖映画をやめて、恋愛ものを観ているそうです。
また、警察の手を借りなければなりませんでしたが、彼氏とも別れたそうです。

そして、施療中そばにいて一部始終をみていたIさんは、私と一緒にお念仏をするようになりました。