卵巣嚢腫を患ったMさんの話

本来持っている治癒力

Mさんが施療を受けるのは、1ヶ月に1回。
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)を患っており、症状からは週に1度の施療が望ましいと判断しました。しかし遠方に住んでおり、仕事、子育てがあることから、そのペースでは京都に来ることができませんでした。
Mさんの卵巣嚢腫は左右にひとつずつ。左側はかなり肥大し、疲れにともなって痛みが強く出てくるようでした。
最初の施療をはじめた時から、肩の張りが強く、リラックスできず常に緊張されていました。そしてこの緊張は、随分以前からのものであるということがわかりました。
2回、3回と通われた後のある日、Mさんから連絡をいただきました。
定期検査の結果、左の腫瘍が消えたとのこと。お医者さんも不思議に思っていたそうです。
私は、 Mさんがタオ療法を信頼し、治ると信じて受療されていたからこその結果だと思いました。人間は素晴らしい治癒力を持っています。
人間が本来持っている力は計り知れません。治ると信じることによって、個人差があるにしても症状は確実に改善されていくのです。
西洋医学信仰が根強いことも事実です。
患者さんの中には、その治癒力を信じられずに、あきらめて西洋医学にいく方も、残念ながらいます。何かあれば切って取り除くという西洋医学の考え方、手法には、いつも疑問に思うところがあります。
救命救急としては素晴らしい医療であると思いますし、中には何が最善であるかを知っている名医の方もいらっしゃいますが、、。


恐れが消えていって

その後もMさんは定期的に施療を受けていました。しかし、忙しくなり、通う機会がなく3ヶ月程開くことがありました。
すると、今度は軽いと思われていた右側が主張してきて痛むというのです。
少ししてから京都に来ることができ、久しぶりにMさんと顔を合わせることができました。
Mさんは全体的に疲れているようでした。施療に入り、身体全体が緩んだ後のことです。卵巣嚢腫がある右側の腹部に、触れるか触れないかというぐらいの時、幼い頃のもう一人のMさんが私の心に映りました。
この主張してくる痛みは、幼い頃のMさんが訴えかけているかのようでした。またさらに以前に受けたトラウマであるようにも感じました。
私は、その幼い頃のMさんと対話するように腹部に触れ続けました。
恐怖心で覆われた幼い頃のMさんは、最初はその対話を拒絶しているように感じました。
「怖くないからね。大丈夫、大丈夫・・・」と私は心の中でなだめ続け、そして語りかけました。そうすると拒絶することをやめて、すーっと受け入れてくれたのでした。
私はそのまま続けました。「大丈夫だよ、大丈夫、大丈夫・・・」恐れが消えていくように感じました。Mさんもすーっと楽になっていったようでした。
施療後、私が感じたことをMさん伝えました。するとMさんも心あたりがあるように、納得されていました。
それはMさんが越えるべき一つの壁であるのかもしれません。そこに向き合っていく決意が見えたようにも感じました。同時に、症状と共にその壁を乗り越えることができるようにも思えました。
そしてまた、このお腹の痛みは無意識の心の痛みの現われであり、“解消したい!”という願いでもあったのかもしれません。
今私には、Mさんと幼い頃のMさんが、恐れから解放され微笑んでいる姿が浮かんできています。

執筆者 本田雅聖