トラウマとアトピー

 

諦めと苦しみ

Yさんは大学生でした。

全身のアトピー、首と肩のひどいコリ、そして常に首の奥に締めつけられているような苦しさがあるとのことでした。

気分も沈みがちで、学校にも出席する気になれず、ひきこもり気味の日々。

初めの印象は、若いのに、諦めと苦しみをずっしり背負っているかのような重さがありました。

施療は頸部をメインに週1回のペースで続きました。施療中や後の短い時間ですが、これまであまり出せなかったご自分の本当の気持ちや、感じてきたことを話されるようになりました。

そのこともあって施療後しばらくは、症状も気持ちも楽になるとおっしゃっていましたが、初めの頃は、それも長続きはされないようでした。

抑圧されていたものへの気付き

Yさんはずっと母親に抑圧されて育ち、自分の意思で人生を歩んでは来れなかったのだそうです。

実家から他県の大学に入学され、ようやく親から離れ一人暮らしを始め、あらためて長年の苦しみが症状として一気に吹き出てきたかのようでした。

アトピーで全身を掻きむしり自分を傷つけるのも、母親への抵抗の現れ(アピール)であったと気付いた、と言われていました。

その後は施療を続ける中で、内部から怒りが出て来たり、溜め込んでいた行き場のない様々な感情が出てきました。

さらに、その感情と向き合わなければいけない辛さを味わい、長い間苦しまれていましたが、やがてそれを冷静に受け止め、向き合える落ち着きを持てるようになりました。

そして、症状がすっかりなくなった訳ではないけれど、少しずつ変化が出てきました。

演奏会への誘い

数ヶ月後には、ずっと休んでいたトランペットの練習も本格的に再開し、

「がんばってます」と笑顔も多くなってきました。

NPOユニの主催する*「気と心の学校」にも参加するようになり、気持ちも行動もどんどん外に向き、前向きな言葉をたくさん聞くようにもなりました。ある時、彼女が所属するオーケストラの公演があるから来てほしいと言われました。

それを聞いて、正直、あのどん底にいたYさんが!?と、信じられない気持ちで、興奮しました。大ホールに鳴り響く満員の拍手の中、演奏は始まりました。Yさんの、全身全霊でトランペットを吹く姿に、ずっと苦しんできた

彼女のこれまでとが重なり、涙が溢れ、その音色は心に染み渡りました。

胸が熱くなりっぱなしの、忘れられない素晴らしいコンサートでした。

その後現在のYさんは、他府県の音楽大学の試験を受け直し、見事編入学され、現在は忙しく日々を送られています。

野本 ゆうこ

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