この男性の方、「あのう・・・」と、ちょっと遠慮がちの電話でした。

「腰から腿の後ろ側にかけての痛みと、それに伴う痺れがひどくて辛いんです。

でも、何よりも辛いのは、退職してやっと好きなゴルフ三昧ができると思ったら、

こうなってしまったことなんです。これまで最低でも週2回はやっていたのに、

今はこのざまですよ」

と寂しそうでした。

 

治療の日に更に詳しく伺うと、皮肉にもどうもその大好きなゴルフのやりすぎが

原因ということがみえてきました。さらにこの時は、意地になって4週間通して

プレイしてしまったそうでした。

 

「理学療法(フィジオセラピー)にかかっていたんですがどうもうまくなくて・・

痛みがね、ここを、こう、ね、曲げるでしょ、それから捻るのもね・・・」

と、手でさするように腰部からひざの後ろにかけてなぞっていきました。

「なるほど、動くときだけですか?」と私。

「と言うかね、普段はまあ我慢できる範囲内ですが、動くともう、イタタタって

感じで・・・」

かなり辛そうでした。

何よりきっと、“好きなことができない!”ということが心の痛みにもなっている

のでしょう。

 

pinkflower 

私は出来るだけ彼がゴルフをやっているところ、問題なく楽しくプレイしている

ところをイメージして治療を続けました。

彼は67歳になります。

私は思いました。彼は長い間働いてきて、やっとつかんだ自由を満喫することこそ

がこれからの彼を幸福にするのだろう。そしてさらに、そのことが心身の健康状態

をポジティブに促進する糧にもなるのだろうと。

 

治療後、

「痛みはどうですか?」と私。

「あれえ・・・?なんか、うーん、よくなったような気もするなあ・・・」

この時はなかなかはっきりしませんでした。まあ、しばしば患者さんの中には

治療後に半分魂が抜けてしまったようになる人もいます。ひとまず、そうっと

しておこうと思いました。

 

そして次の日の電話です。

「いやあ、おかげさまで、身体は軽いし痛みもなくなりました。ありがとうございまし

た」

それ以来、痛みが戻ることはなく、以前のよ うにゴルフ三昧を続けておられる

そうです。そして近頃では、彼の娘さんも治療に来られるようになりました。