微笑みで人を幸せにし、自分も幸せになる

執筆者 | 3月 20, 2013

布施の種類にはいろいろある。
金銭や衣服食料などの財を施す、財施や仏の教えを説く法施等。

和顔施(わがんせ)という布施もある。人に微笑みを与えることで、見た人が幸福感に浸る。これも素晴らしい布施だ。そして、その結果、微笑みを与えた自分も幸福になる。

先日、新宿駅メトロ食堂街にあるレストラン墨繪(すみのえ)に友人と訪れた。10年ぶりの墨繪で、その前に行ったのは四半世紀前だった。その頃は都内に勤務していたので、時々立ち寄っていた。

墨繪の料理は盛り付けも素晴らしいし美味しい。ランチタイムや夕食時には行列ができる程だ。一度行ったら、また、来たくなる、そんな店だ。しかし、わたしが、その頃、何度も通ったのは、もう一つ大きな魅力があったからだ、、。

お客のテーブルへ料理を運ぶ、その青年ウェイターは、いつも微笑みで、お客に接していた。わたしが食事を終えて店を出るまで青年が微笑みでいなかったのを見たことがない。彼は接客中以外のただ料理を運んでいる時も笑顔を絶やさなかった。(その頃のわたしは笑顔が苦手で、上手く笑える人が羨ましかった。最近は少しましになったが、、笑)

笑顔に憧れ、笑顔に幾度か騙されてきた私は、数回ほどの「墨の繪」訪問で、いつの間にか青年の笑顔に魅了され、数年通ってしまった。そうして、ある日、はたと気がついた。彼は、自分のできることで人に幸福なひとときを過ごしてもらえたら、ただ、それだけであの微笑みを絶やさない、、そうに違いない、と。私は彼の笑顔で幸せな気分に浸れたのだ。

歳月を重ねる内に都内に通うのが疲れてしまい、だんだん、住まいも勤務地も都会から遠くなり、墨繪と青年の笑顔からも足が遠ざかる。

10年ぶりに、墨繪レストラン席に案内され座る。10年前に来た時と同じように店内を見渡し、あの笑顔を無意識に探している、が
、もう、あの微笑みには会えないな、、と落胆、、、その時、わたしに語りかけるような男の声が聞こえる。

「いらっしゃいませ、、」

振り向くと、、、、?!

一瞬、目を疑ったが、男は紛れもなく微笑みの彼だった!!歳月は感じられるものの、いつも優しい目で人を見る、その笑顔は昔と全く変わっていない。

私は、四半世紀に渡る、彼の笑顔への思いを一くさり話すと彼は微笑みながら聞いている。そして感謝の言葉を残し、仕事に戻った。

みなさん、新宿に行く機会があったら、一度、墨繪の美味い料理と彼の素敵な微笑みに会いに行かれたらいいです。ひととき幸福な気分に浸れますよ。あっ、彼は、店長になってました。もちろん、全然、偉ぶってない素敵な店長さんに、。