一瞬先の未来に生きる

執筆者 | 11月 6, 2014

上諏訪念佛ハイで、導師の喨及師が必死に念仏する姿を見て、或る老婆の面影が彷彿とした。

30代、私は山登りに熱中していた。

ある夏の日、北アルプスの山を登っていた。頂上まであと30分くらいのところで休憩していると急峻な登山道の下方から人の声が近づいてきた。途切れ途切れの、か細い声は、幻聴か?とも思った。耳を澄ます。それは、やはり幻聴ではなかった。

「、、もう一歩で、天国!、、もう、一歩で、天国、、もう一歩で、、天国!、、もう、一歩で、、、天国!!」

と聞こえ、その声の主は私の視界に入った。二本の足と一本の杖を使い前だけ見て登る老婆の姿があった。他に誰もいなかった。老婆一人でこんな山道を登ってくるなんて、無謀だな、、とも、。

一瞬、声をかけようとしたが、その必死な姿に憚られた。その老婆の姿は神々しく、なんだか光に包まれている気さえした。

「、、もう一歩で、天国!、、もう、一歩で、天国、、」

 

 

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「一瞬先の未来に必死に生きることが、そのまま、お浄土そのものである」

という教えを、上諏訪念佛ハイで喨及師の必死の姿から教えられた。

あの夏の日、遠い過去も一瞬前の過去も、かなぐり捨て、汗だくで一瞬先の未来に必死に生きていた老婆。そして今、道を体現されている喨及師。

「人生、このままでいいのか、、?」と、声が追いかけてくる。