「もうすんだとすれば」

執筆者 | 4月 2, 2017

童謡「ぞうさん」の作詞者として知られている、詩人まどみちおさんの作品に、「もうすんだとすれば」という詩があります。

 

「もうすんだとすれば」 まどみちお

 

もうすんだとすれば これからなのだ

あんらくなことが 苦しいのだ

暗いからこそ 明るいのだ

なんにも無いから すべてが有るのだ

見ているのは 見ていないのだ

分かっているのは 分かっていないのだ

押されているので 押しているのだ

落ちていきながら 昇っているのだ

遅れすぎて 進んでいるのだ

一緒にいるときは ひとりぼっちなのだ

やかましいから 静かなのだ

黙っている方が しゃべっているのだ

笑っているだけ 泣いているのだ

ほめていたら けなしているのだ

うそつきは まあ正直ものだ

おくびょう者ほど 勇ましいのだ

利口にかぎって バカなのだ

生まれてくることは 死んでいくことだ

なんでもないことが 大変なことなのだ

 

私たちが意識で捉えていることや常識だと思っていることと、気と心の世界を通して無意識が感じていることや、ものごとの本質は、実際には反対なんですよと、喨及師にたびたび教えていただき、確かにそうだと実感することが多いです。

そういう勘違いというか、自分にとっての都合の良い幻想というか、実は反対なのに、それに気づかないまま、それが常識だからという価値観に依存して、さらに苦しみをつくり、その中で右往左往しているのが、私たちのエゴというものなのでしょうね。

まどみちおさんの言葉は、短くシンプルですが、しかし、私たちが知らず知らずのうちに嵌まってしまっている価値観を、力強く根底から揺さぶるように感じます。