探しものはなんですか?

近頃京都では春の陽気でしたが、また寒さが戻ったり、今年は三寒四温の訪れも早いように感じます。体調管理が難しい時期ですね。

お元気でお過ごしでしょうか。タオ療法の野本ゆうこです。

探しものはなんですか?

 

今回もなぜか井上陽水「夢の中へ」の歌詞からになりました(笑)。

久々に聴くといい曲でしたのでよろしければどうぞ♪

井上陽水 – 「夢の中へ」 ミュージックビデオ

 

私の探しものといえば、時代的にも「自分探し」でした。

見つけにくいものでした(笑)。

「本当の自分」それはあるのかないのかわからないけど、今が「なんか違う」という感覚だけはあって、それを口実に、当時流行りのいわゆる「自分探しの旅」によく出かけていました。

なぜ生まれてきて、なんのために生きてるのか?どのように生きていけばいいのか?etc,,

明確な答えは出てきませんでしたが、きっとこうなんじゃないかな、ああなんじゃないかな、その都度あれこれ浮かんできては流れていって、、、そんな繰り返しの日々を送っていたその頃、ご縁があってこのタオ指圧の道に出会いました。

「自分探し」から「自分なくし」へ

 

参加してみると、指圧の講習会なのに、指圧のやり方よりも、氣や心のワークが主体。

それもとても新鮮で、まだ自分探し継続中の私には刺さるものがありました。

 

ですが、ワークの中で見つかるものは「狭い枠の中の自分」や「こだわり」や「執着」「思い込み」「虚栄心」「比較」や「自己中心」、、、

正直あまり見ないようにしていた部分、ネガティビティとの向き合いです。

 

タオ指圧は、まず患者さんと術者の氣が融合してこそ成り立ちます。

その氣の融合には、上記のような “自分が、自分が” という『我』は必要ありません。

むしろ邪魔ですし、相手に重さや不快を与えることも氣で体験します。

逆に “自分、自分” という自我を引っ込めてみると、融合は起こりますし、快い氣を与えるのです。

知識ではなく、体験、体感は説得力が違います。

自分ってなに?自分らしさとは?自分は一体何がしたいのだろう?

自分にとって、とか、自分は、とか、自分が、とか、常に自分ばかりに気が向いている尽きることのない「自分探し」は、終わりのないただの「自己関心」かもしれない、と至りました。

 

そこからは、みうらじゅんの言葉で言えば「自分なくし」の旅の始まりです。

とりあえず「自分」はちょっと置いといて。

これまで自分に向けていた関心を、他者に対して同じくらい向けてみよう。

そうするとなんだか逆に、明るく軽く楽になったようでした。

 

探しものが、まさかのこんなところに

 

ある日の指圧の講習会。氣のワークでのことです。

(よろしければご一緒に心の奥を感じてみてください。)

ざわついている日常的に放出しっぱなしの我を、すーっと抑えて、心の奥の、そのまた奥を開けながら段階を追ってていねいに感じていきます。

 

自分の心を内観し、まず認識するのは何でしょう?

瞬間ごとに変わる身体感覚です。

それも雑事に追われ、なかなか認識できていないものです。

そしてその奥は?そこには、抑え溜め込まれた様々な感情があります。

人それぞれ、怒りだったり、悲しみだったり、恐怖、孤独感、無力感、絶望など、、、

その感情を一言で表現すれば、「ただ泣きたい」。

何の言葉もなく、ただ泣きたい。

その感情はずっとそこに押しやられ、泣いていたことに気づきます。

この「泣きたい」、という感情は一体なんでしょう。

それは、自分の味わっているこの痛みを、

“他の誰にも与えたくない”、という『願い』です。

 

そしてその先には、溢れるような強い心が躍動しています。

それは、すべての人に対して、“痛いほどに与えたい”、という心。

 

安らぎを与えたい、喜びを与えたい、愛を与えたい、

氣遣いを与えたい、幸せを与えたい、、、

なんであれ、人生の良きことを、、、。

 

明らかにこれまで意識的に探しても思いついたことなんてありませんでした。

人類すべてに対する、ほとけさまの願いかのようなスケールの大きさの

強く強く願う心が、こんな自分の心の奥にもあったのです。

まるでいつか氣づいてくれるのを待っているかのように・・・。

おどろきと、なぜかなつかしさと、あたたかいもので胸がいっぱいになり涙が溢れました。

それぞれ一人一人の、これまでの痛みや苦しみを伴う過去の体験の意味が、人生の目的が、果たすべき使命が、まさかこんなところに隠れていて、一人一人に与えられているとは。。。

これが仏教用語で至心(ししん)と言い、「真実の心」なのだと教えていただきました。

探すのをやめたとき、見つかることもよくある話しで

踊りましょう 夢の中へ 行ってみたいと思いませんか♪

(「夢の中へ」より)

記:野本ゆうこ

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