生徒によるタオ療法体験記

KW/男性/日本在住

烈火のごとき膝の痛み

電車の急停車で私の上に人が雪崩のように倒れてきて、その時に右膝を痛めました。その衝撃はすさまじいものでした。
しばらく痛みを感じていましたが、数日すると痛みが取れ、何事もなかったかのような生活に戻りました。
ところが、一ヶ月ほど経ったある日、通勤途中に駅まで歩いていると、その右膝の痛みが烈火のごとく舞い戻ってきました。このときは、痛くて歩けないほどでした。
その週末に総合病院に行き、診察をしてもらい痛みの箇所を特定しました。診断は、右半月版の損傷。または靭帯を伸ばしている可能性がある、とのことでした。
帰りに大量の湿布をもらい、家路に着きました。
当然のことながら湿布をしても痛みは消えず、歩くのに支障をきたすような状況は、まったく変わりませんでした。

私は、タオサンガのワークショップ・気と心の学校に通い、その後、修練クラスに通ってタオ療法を学んでいました。
さまざまな治療法を検討した結果、タオ療法を受けてみることにしました。クラスで学んでいる施療が、実際に臨床でどんなものなのかを自らの体で体感してみたい、心を養うトレーニングをすることで、患者の無意識に働きかけ癒していくというクラスの内容を、実際に受けてみたいと思ったのです。

先生に大丈夫でしょうと言われるまで、一週間に一回というペースで合計十回の施療を受けました。
ちょうど施療を受け始める前の約三週間くらい、咳がでるなどの症状で調子が良くありませんでしたが、三回の施療を受けている間に調子を取り戻しました。

膝の痛みはありましたが、体からエネルギーが湧いてくる感じがありました。
肉体的に気持ちが良いということと、私の中に内在している痛み、悲しみ、そして苦しみなどの否定的な思いがまるで氷が解けるように溶け出し、癒されていくのを実感したのでした。
それは私にとっては衝撃的でした。修練クラスの後に施療の予約をしていた時などは、不謹慎ですが早くクラスが終わって施療を受けたいと思ったほどでした。

変化と疑心

四回目から、変化が現れました。はじめの三回の施療でかなり心のケアができ、膝が好転するかと思ったら、なかなか順調には行かないのです。
原因は、早く痛みを治そうと、毎朝タオのクラスでしている経絡体操とヨーガを併用し無理をしたせいでした。かなり痛みは引いていたのに、また、ぶり返してしまいました。
そして、このまま痛みが取れないのではないか、という不安が、痛みを感じるたびに頭をめぐります。それはいつしか、タオ療法に対する否定的な思いにまで発展してしまいました。
同時に施療を受けた後に感じる、どうしようもないくらいの眠気、重だるさ、痛みの箇所の変化などのめんけん反応が出ていました。これは治る兆しであることは理解していましたが、一方で治癒に対する不安をかき立てるものでもありました。

膝が治らないのは、タオ療法がいけない、と責める気持ちがあることに気づきました。
タオ療法への依存状態から脱し、自分で治るという気持ちを強化するために、エゴスキューという体の歪みを取るエクササイズを無理のない程度にほぼ毎日やったりしました。私の心はこんな状態でした。
そして、この間も不思議な状態は続いていました。
膝は痛いのに、体調はどんどん良くなり、疲れることがないのです。
このままずっとアクティブに仕事をしていても、いけちゃうんじゃないか、というくらい元気なのです。だから余計に膝の痛みが気になって痛んだのだと思います。

治ると確信

急に膝の痛みが変化を見せたのは七回目の施療を受けたときからでした。
施療中の会話で何気なく、「昨日飲みすぎてしまって膝がいつもより痛むんです。」と話をしたら、肝経のスジに対しても施療をしていただきました。
その直後、痛みがすっと消えたのでした。
体に気を使いケアをする気持ちになり、アルコール量も減らしました。
その頃から痛みが急に薄らいできました。翌朝、起きて膝の調子はどうかとみると、膝の痛みの箇所が膝の皿の後ろから内側に移動していて、痛みの箇所が小さくなり、大きな鉛の詰まったものが膝に入っていた感じから、白い小さなワタ飴のような感じにと、変化をしました。そして、以前より曲がるようになりました。

毎日、微細に変化が起こっていました。
そんな時、引越しがありました。重い荷物を何往復も持ち運びました。
時々痛みが走りましたが作業は続けました。また痛みがぶりかえすのでは、と不安になりました。しかし、今回は翌日になると痛みは消えていました。
だんだん痛みが取れてきたのは実感していたのですが、この経験から膝の痛みが治る予感が一層強くなりました。
徐々にですが、正座も長い時間できるようになりました。もう少しだ、と感じるようになり、晴れて10回目で、施療を終了することになりました。

学ぶものとして

振り返ってみると、施療の時間に遅れたり、タオ療法に疑心を抱いたこともありました。それでも先生は、限りない愛情と忍耐力で私を受け入れてくださいました。
その深い気持ちが私の無意識に届き、共鳴と癒しを感じていました。
その思いや行為は言葉で書けば簡単ですが、行動となると様々な心の葛藤を伴うものだと推測します。
そして今なお心の修養をされている姿を見て率直に感じるのは、タオ療法を学ぶ者として、見習うべき存在だということです。
今後、さらに私自身、心の世界を深め、施療できる人間に成長していきたいと思います。また受療できたことは、タオ療法を学ぶ上で大きな経験となり、また私自身の中でも本当に大きな経験でした。治療をしていただいたことに心より深く感謝します。

関連記事

  1. 膝の痛み

  2. ミステリアス・タオ療法

  3. 膝関節痛の癒しと懐妊